しかし、特に補助金については、その活用において注意すべき点がいくつかあります。
本記事では、補助金と助成金の違いや、補助金を活用する際の注意点について解説します。
補助金と助成金の違い
国や自治体から受け取れる返済不要の資金には、大きく分けて補助金と助成金があります。
両者の決定的な違いは、受給の仕組みにあります。
補助金は主に経済産業省が管轄し、設備投資や販路拡大といった事業の成長を支援するものです。
予算の枠が決まっているため、申請すれば必ずもらえるわけではなく、事業計画の優秀さを競うコンペ方式となります。
対して助成金は主に厚生労働省が管轄し、雇用や研修を支援するもので、要件を満たせば原則として受給可能です。
補助金は後払い形式であり、採択後も厳格なルールに則って事業を進める必要があります。
受給のハードルは高いものの、1件あたりの支給額も比較的大きく、企業の飛躍的な成長を後押ししてくれる点が補助金の大きな魅力です。
補助金活用の際の注意点とは
補助金を活用する際には、いくつかの点に注意する必要があります。
以下で具体的に確認していきましょう。
注意点①審査では事業計画書が重視される
補助金は、単に受給要件に合致しているだけでなく、新規の事業内容が他企業よりも優れていると評価されなければなりません。
この審査の中で、特に重視されるのが、事業計画書の内容です。
現在の自社の課題をどう解決し、補助金を使ってどのような新機軸を打ち出すのか、それが将来的にどれほどの収益や社会貢献を生むのかを、論理的かつ具体的に示す必要があります。
審査員を納得させるだけの客観的なデータや市場分析が不足していると、どんなに優れたアイディアであっても採択を勝ち取ることは困難となってしまうでしょう。
注意点②交付決定通知前の経費は補助金の対象外
補助金の活用において、よくある失敗のひとつが発注のタイミングです。
原則として、事務局から交付決定通知が届く前に契約や支払いを行った経費は、一切補助金の対象になりません。
補助金の公募が始まるとすぐに準備を進めたくなりますが、交付決定を待たずに設備を購入したり、工事を始めたりしてしまうと、後で補助金が1円も出ないという事態を招きます。
例外的に、事前着手承認が認められるケースもありますが、基本的には通知を待ってから本格的な行動を開始するよう注意しましょう。
注意点③書類を厳格に管理する必要がある
補助金は公的な資金であるため、使途について高い透明性が求められます。
見積書、発注書、納品書、請求書、そして支払いを証明する振込控えなど、それぞれの書類が1通でも欠けていると、原則として補助金は支給されません。
また、証憑書類だけでなく、購入した設備の写真や作業日誌の提出を求められることもあります。
これらの書類は、事業完了後も5年から10年程度の保存義務があるため、社内で厳格に管理する体制を整える必要があります。
注意点④収益納付の可能性がある
補助金は返済不要が原則ですが、例外として収益納付というルールがあります。
これは、補助事業によって直接的に大きな利益が出た場合、受け取った補助金の一部を国に返納しなければならないという仕組みです。
たとえば、補助金で開発した新製品が爆発的にヒットし、多額の利益を得た場合などが対象となります。
これは、補助金によって得られた過剰な利益を社会に還元するという公平性の観点から設けられたルールです。
事前のシミュレーションで、どの程度の利益が出ると返納の可能性があるか把握しておくことが大切です。
注意点⑤会計検査院の調査対象となる場合がある
補助金を受給した企業は、数年後に会計検査院による調査の対象となる可能性があります。
これは国のお金が正しく使われたかをチェックするもので、調査対象に選ばれると、当時の書類の提示や現場の確認を求められます。
万が一、書類の不備や不適切な会計処理、当初の目的外への使用などが発覚した場合、補助金の返還を命じられるだけでなく、悪質な場合は加算金が課されたり、企業名が公表されたりすることもあります。
受給したら終わりではなく、数年後まで責任を持って対応できる体制を整えましょう。
補助金受給を検討の際は税理士までご相談ください
補助金の申請から受給後の管理までには、膨大な事務作業と専門的な知識が必要です。
特に、採択率を高める事業計画書の作成や、複雑な収益納付の計算、会計検査院による検査を見据えた書類整理は、自社のみで行うには大きな負担となる場合があります。
税理士に相談することで、財務状況に基づいた無理のない資金計画の策定や、採択のポイントを押さえた計画書作成のサポートを受けることができます。
また、認定経営革新等支援機関の登録を受けている税理士であれば、特定の補助金申請において必須となる確認書の発行もスムーズに行えます。
より確実な受給と、受給後のリスク回避のために、専門家である税理士のサポートを活用することをおすすめします。
まとめ
補助金には、審査の壁や厳格なルール、収益納付といった独自の注意点が存在します。
申請の際には、制度の仕組みを正しく理解し、計画的に取り組むことが重要です。
補助金について不明な点がある場合や、より確実に採択を狙いたい場合には、補助金実務に精通した税理士への相談をおすすめします。





