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資本金の額が与える影響|会社を設立するときの決め方について解説

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資本金の額が与える影響|会社を設立するときの決め方について解説

会社を設立する際、やらないといけない手続きがたくさんあります。そして避けて通れないものの1つが「資本金の決定」です。その金額は自由に定めてもいいのですが、事業の立ち上げ時にかかる負担や事業を運営していくにあたっての負担などに影響を及ぼしますので、よく考えて額を決めましょう。

資本金の額は事業の立ち上げや運営に影響する

昔は「○○万円以上の資本金にしないといけない」と金額に関する決まりがあったのですが、2005年に会社法が施行されてからはこの制約がなくなっています。つまり1円で会社設立をしても違法ということにはなりません。

ただ、資本金の額が会社にさまざまな影響を及ぼすことを忘れてはいけません。

資本金の額が、会社の信用力、資金調達力や納税額などに密接に関わってくるため、慎重に決定する必要があります。「高ければ高いほど良い」というわけではありませんし、「低ければ低いほど良い」というわけでもありません。

設立費用への影響

会社を設立するとき、設立登記の申請時に「登録免許税」を納付しないといけません。また、株式会社の場合は定款を作成したあとで公証人による認証を受けなければならず、そのときに「認証手数料」の支払いが発生します。

そしてこれらの税金や手数料は資本金の額に対応しており、金額を高く設定すればするほど設立費用もかさむことになります。


会社の種類 登録免許税の大きさ
株式会社 登録免許税 = 資本金の額×0.7%
※最低額は15万円
合同会社 登録免許税 = 資本金の額×0.7%
※最低額は6万円
合資会社および合名会社 登録免許税 = 一律6万円

運転資金への影響

会社の設立後、すぐに事業が軌道に乗り利益が出る…というふうに上手くいくとは限りません。むしろ多くの場合、最初のうちは思うように売上が上がらず、資金繰りに苦労するものです。

そこで立ち上げ当初は売上・利益が十分に出ないものと想定し、ある程度の運転資金を用意しておくべきです。日々の事業活動に必要な資金、例えば家賃や人件費、仕入れ費用など、さまざまな支払いに充てられるように備えておくのです。

資本金は、この運転資金の一部として活用することができます。つまり、資本金を多く設定しておけば、それだけ事業初期の資金繰りに余裕ができるということです。

具体的にどれくらいの運転資金が必要かは、業種や事業規模によって異なりますが、一般的には「3ヶ月~半年程度の事業運営に必要な資金」を確保しておくことが望ましいといわれています。

資本金が少ないと、ちょっとした売上減少や予期せぬ出費で資金繰りが苦しくなり、事業継続が難しくなることもありますので注意しなくてはなりません。

許認可取得への影響

業種によっては、事業を始めるために許認可を取得しなければならないケースがあります。

許認可とは、国や地方公共団体から特定の事業を行うための許可や認可を受けることを意味します。事業を行う上で一定の基準を満たしていることを証明し、消費者保護や公正な競争を確保するための制度です。

そして、この許認可を取得するための要件の1つとして「資本金の額」が定められている場合があるのです。
許認可が必要なすべての業種で資金要件が定められているわけではないものの、例えば建設業や人材派遣業、人材紹介業、旅行業などでは「○○万円以上」と一定以上の資金を有していることが求められています。

しこれらの業種を始めるのであれば、あらかじめ要件についてチェックし、少なくともその金額以上の額には設定しておかないといけません。

資金調達への影響

事業を拡大したり、新たな設備を導入したりする際には、多額の資金が必要になることがあります。このときの資金調達で、多くの企業が採用している手段が「銀行などの金融機関から融資を受けること」です。

しかしながら、融資を受けるためには金融機関の審査に通らなければならず、そのとき事業計画や企業の収益性、そして財務状況なども厳しくチェックされます。
この財務状況を判断する上で資本金の額も大事な要素の1つとなっているため、極端に小さな額を設定していると良くない印象を持たれる可能性も出てきてしまうのです。

十分な資本金があれば、「この会社は、自己資金で事業を運営できる力がある」と判断され、融資も受けやすくなるでしょう。

逆に、資本金が少額だと「事業基盤が脆弱なのではないか」「返済能力に不安がある」と評価され、融資を断られたり低い金額しか借りられなかったりする可能性が高まります。

もちろん、資本金の額だけで融資の可否が決まるわけではありません。事業計画の具体性や将来性、経営者の手腕なども総合的に評価されます。しかし、金融機関からの信用獲得を重視するのであれば、相場から乖離した金額に設定することは避けた方が良いでしょう。

税金への影響

会社経営において「税金」は無視できない要素です。

そして税金のうち消費税や法人税、法人住民税については、納税額の算定にあたって資本金の額が影響してくるため、資本金を定めるときに税負担についても考慮するようにしてください。

例えば「消費税」の場合、原則としてすべての事業者に納付義務がありますが、新設した会社の資本金が“1,000万円未満”であれば、消費税が免除されます。インボイス制度の運用が始まったことで、免税事業者になれたとしても課税事業者になる例が増えていますが、“1,000万円未満”が1つの基準になるといえるでしょう。

また、「法人税」については資本金の額が“1億円以下”であれば、一定範囲の所得に限り軽減税率を適用することができます(原則23.2%であるが、19%の税率を適用できる)。

「法人住民税」であれば、そのうちの均等割については資本金の額と従業員の数で納付額が定まります。もし従業員数が50人以下であって資本金の額が“1,000万円以下”であれば7万円ですが、資本金の額が“1,000万円超~1億円以下”であれば18万円…といった具合に規模に対応した納付額が設定されています。

このように、資本金の額は会社の運営コストにあたる税金にも一定の影響を与えるため、今後の税負担も見据えた上で最適な資本金の額を決定するようにしてください。

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