新しい事業の立ち上げや事業の成長のためには、アイデアだけでなく十分な資金が必要です。
特にスタートアップ企業にとって、適切なタイミングでの資金調達は、事業の成否を左右する最も重要な経営課題の1つです。
この記事では、資金調達を成功させるための流れと、新たに会社を設立する場合の資金調達方法を解説いたします。
資金調達の主な流れ
中小企業や小規模事業者の資金調達は、主に信用保証協会と金融機関による保証付融資がメインとなります。
この保証付融資は、中小企業にとって一般的な資金調達方法の1つです。
そのほかに、信用保証協会の保証を介さず、金融機関が企業に対して直接融資を行うプロパー融資もあります。
保証付融資とは?
保証付融資とは、中小企業・小規模事業者が金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が公的な保証人となる制度のことです。
中小企業は信用保証協会の保証を受けることで金融機関から融資を受けやすくなります。
万が一、中小企業が返済できなくなった場合、信用保証協会が金融機関に代位弁済するため、中小企業が金融機関から借り入れる審査基準が緩和されます。
信用保証協会が代位弁済した場合、中小企業は金融機関ではなく信用保証協会に代位弁済分を返済する必要があります。
保証を利用できる条件
信用保証協会の保証を利用するためには、業種ごとに資本金と従業員の条件を満たす必要があります。
業種ごとの条件は次の通りです。
■製造業(建設業や運送業を含む)
資本金3億円以下・従業員300名以下
■卸売業
資本金1億円以下・従業員100名以下
■小売業
資本金5000万円以下・従業員50名以下
■サービス業
資本金5000万円以下・従業員100名以下
■ソフトウェア業
資本金3億円以下・従業員300名以下
■医療を主たる事業とする法人
従業員300名以下
上記のように、製造業や建設業などでは比較的大きな規模まで保証の対象となりますが、卸売業やサービス業などではより小さな規模に限定されます。
また、金融機関が融資を決定する際、農業や漁業、金融業などの業種は、保証の対象とならないことに注意が必要です。
プロパー融資とは?
プロパー融資とは、信用保証協会の保証を利用せず、金融機関が企業の信用力を評価し、企業と金融機関が直接取引を行う融資形態です。
このため、金融機関は融資の全額についてリスクを負うため、審査基準は保証付融資よりも非常に厳しくなります。
原則として会社の財務状況が健全で、十分な担保力や高い事業の成長性を持つ企業でなければ利用が難しい場合が多いです。
会社設立時に利用できる新規開業・スタートアップ支援資金
会社設立時や事業開始後間もないスタートアップ企業にとって、日本政策金融公庫が提供する新規開業・スタートアップ支援資金は、重要な資金調達源となります。
この制度は、起業家の資金調達を支援し、新たな事業の創出を促進することを目的としています。
融資限度額は7億2000万円と高額であり、原則として担保や保証人は不要です。
女性、若者/シニア起業家支援関連
この融資制度は、女性、35歳未満の若者、55歳以上のシニアといった特定の起業家を支援するために設けられたものです。
新規開業・スタートアップ支援資金と比べて、さらに優遇された条件、具体的には低利率で融資を受けられる可能性があります。
融資対象は、女性、若者、シニアのいずれかに該当する起業家で、事業開始後おおむね7年以内の事業者が含まれます。
返済期間は、設備資金が20年以内、運転資金が7年以内です。
再挑戦支援関連
これは、過去に事業に失敗し、廃業歴がある起業家を支援するための制度です。
1度事業に失敗したものの、再び起業を目指す方に対し、通常よりも有利な条件で融資を提供します。
担保や保証人は原則不要とされているため、再起を図りたい起業家にとって大きな支えとなります。
返済期間は、運転資金が20年以内、運転資金が15年以内です。
中小企業経営力強化関連
これは、税理士や弁護士など、認定経営革新等支援機関の支援を受けて事業計画を作成する中小企業・小規模事業者を対象とした融資制度です。
事業計画の策定を専門家と共同で行うため、事業の成功可能性が高いと評価され、融資を受けやすくなります。
担保や保証人は原則不要です。
返済期間は、設備資金が20年以内、運転資金が7年以内です。
まとめ
資金調達は、事業計画の作成、資本政策の策定、投資家へのアプローチといった段階を経て進みます。
特に株式会社は、資金調達の際に株式放出の割合を決めておく資本政策が不可欠です。
新規開業の場合、日本政策金融公庫の支援資金が有効です。
新規開業・スタートアップ支援資金は起業家に対し、担保・保証人不要、低利率といった有利な条件を提供します。
資金調達でお困りの際は、ぜひ税理士にご相談ください。





