公証役場で法律の専門家が作成する公正証書遺言は、極めて高い信頼性を誇ります。
しかし、いざ作成しようとすると、どのような書類を揃えればよいのか、費用は全部でいくらかかるのかといった疑問や不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、公正証書遺言の概要と作成の際の必要書類、費用について解説します。
公正証書遺言とは
公正証書遺言とは、公証役場で公証人が作成する、極めて安全性・信頼性の高い遺言書のことです。
公証人とは、裁判官や検察官などを長く務めた法律の専門家であり、遺言者の意思を確認しながら法的に間違いのない書面を作成してくれます。
自筆証書遺言のように、形式の不備で無効になるという心配が限りなく少なく、作成された原本は公証役場で厳重に保管されるため、偽造や紛失、死後の隠匿といったリスクもありません。
また、亡くなった後に家庭裁判所での検認という手続きが不要なため、相続人が速やかに預貯金の解約や不動産の名義変更を進められるという大きな利点があります。
公正証書遺言の作成に必要な書類とは
公正証書遺言を作成するためには、遺言者本人や相続人の情報を正確に公証人へ伝えるための資料を揃える必要があります。
基本的には、以下の書類を準備することになります。
◼️遺言者本人の本人確認書類
印鑑証明書と実印、またはマイナンバーカードなどが必要となります。
◼️遺言者と相続人の関係を証明する戸籍謄本
誰に財産を相続させるのかを法的に特定するために欠かせません。
◼️遺贈先の住民票
これは、相続人以外に財産を遺贈したい人がいる場合に用意します。
◼️財産の詳細を確認するための資料
不動産であれば登記事項証明書や固定資産評価証明書、預貯金であれば、銀行名、支店名、口座番号がわかるメモや通帳のコピーを準備します。
さらに、当日立ち会う2人の証人の氏名、住所、生年月日、職業を確認できる資料も求められます。
これらの書類を事前に公証役場へ提出し、公証人がそれをもとに原案を作成していくことになります。
公正証書遺言の作成にはいくらかかる?
公正証書遺言は、公証人が関与する公的な手続きであるため、作成にあたって一定の費用が発生します。
この費用は、主に公証人への手数料、実費としての書類取得費、証人への謝礼の3つの要素で構成されています。
遺産の総額や渡す相手の人数によって金額が変動するため、あらかじめ目安を知っておくことが大切です。
費用①公正証書作成の手数料
公証役場に支払う手数料は、政令で定められた公証人手数料令という基準に基づいています。
この金額は、遺言書で指定する財産の価額が大きくなるほど、また財産を渡す人数が増えるほど高くなる仕組みです。
たとえば、1人の相続人に3000万円の財産を相続させる場合の手数料は2万3000円ですが、複数の相続人に分けて渡す場合は、それぞれの取得額ごとに手数料を算出し、それらを合計します。
これに加えて、遺言加算や、枚数に応じた正本・謄本の作成代などが加算されます。
病気などで公証人に病院や自宅まで来てもらう場合は、手数料が5割増しになり、別途日当や交通費も発生します。
費用②必要書類の取得費
遺言書の原案作成に必要な各書類を役所などで取得するための実費です。
戸籍謄本は1通450円、印鑑証明書や住民票は自治体によりますが1通300円前後、不動産の登記事項証明書は1通600円程度かかります。
特に相続関係を証明するために過去の古い戸籍を遡って収集する場合、数千円から1万円程度の費用がかさむこともあります。
また、郵送で取り寄せる場合には定額小為替の手数料や郵送料も必要となります。
1つひとつは少額ですが、必要な通数が多くなることもあるため、予備費として考えておくとよいでしょう。
費用③証人の依頼料
公正証書遺言には2人の証人の立ち会いが必要であり、知人などに依頼せず専門家に依頼した場合にはその費用が発生します。
身近に証人を頼める人がいない場合や、内容を家族以外に知られたくない場合は、公証役場から紹介を受け、依頼することになります。
公証役場から紹介を受ける場合の相場は、証人1人につき6000円から1万円程度です。
まとめ
公正証書遺言は、必要書類の準備や一定の費用負担は伴いますが、それに見合うだけの高い安全性と信頼性を持った制度です。
財産の額や家族構成によって手数料は変わるため、事前に見積もりを取っておくことで、計画的に準備を進めることができます。
相続対策を検討している場合は、専門の税理士に相談することをおすすめします。






